外国語学習の足跡

外国語(仏語)学習に関する情報を発信していきます。

「Le petit prince」を読んで思ったことと考えたことと、そして知ったこと

 最初にことわっておきますが、読書感想文ではありません。記事のタイトルで誤解を招いてしまいそうですが、「を読んで」の直後に「フランス語の学習に関して」を補ってください。

 

昨年末、こちらの本を読みました。

 books.rakuten.co.jp

 

 「星の王子さま」の原語版なのですが、左のページに本文が、右のページに注釈が載っています。「自分で訳す」とは、翻訳版を直に読むのではなくて、文字通りですが、自分で読み解きながら独自の訳を作り出すという意味ではないでしょうか。この2つって、実は全く違うことですよね。ニュアンスの違いとかが生じるはずです。

 辞書の傍らで、「これ読み終わったらグッと読解力と語彙が身につくだろうな」という確信を心の支えにし、時間をかけて読み進めました。決してスラスラとは読めない文章を読み解く作業は、けもの道を切り拓いていくように感じられました。

 

特に難儀したものを3点挙げ、ざっくりと説明します。

 

  1. 倒置法
  2. 単純過去の三人称以外の活用形
  3. 成句表現

 

 登場人物の台詞の直後に「彼は言った」、「彼は付け加えた」といった文が多々置かれているのですが、それらが動詞、主語の順番になっていました。二語文とごく短いので、読んでいるうちに慣れれば混乱することはないのですが、若干長い文でも倒置法が使われていることがあり、「ん?」となって、すんなり読めなかったりしました。フランス語における「語順」という、自由度の低い要素において違和感を覚えると、一瞬戸惑います。

 この作品は基本的に、一貫して過去時制での語りとなっています。「AはBした」という完了形の文においては、複合過去もありますが、単純過去になっていることが多いです。この時制は、話し言葉ではまず使われません。論文や新聞などで、客観的な視点から見た事実を表すためのお堅い文章の中で出てきます。活用形も、三人称単数、複数のみ知っていれば間に合います。ただ、この作品の中には一人称単数、複数での活用も見られました。仏検1級の話をするのは気が早いというのは重々承知していますが、そこにおいては、「出題される文法事項は何でもあり」と風の噂で聞いています。重箱の隅をつつかれる覚悟を今のうちから決めておくべきなのかもしれません。使う機会がなければ忘れてしまうのではないかという懸念はさておき、どんなにマイナーな規則でも、知る、覚える努力をしておいて損はないでしょう。

 成句表現は、初見では分かりません。それでも、注釈を見たらピンとくることが多いです。認知度が高い単語の集合体が1つの意味を形成しているということが分かると、ストンと腑に落ちる感覚がありました。

 

 勿論、たった1回読み終えただけでは理解しきれていません。これから何度か反復する必要がありそうです。